中間建築設計工房ブログ/建築家 大阪

にほんブログ村 住まいブログ 住宅設計・住宅建築家へ  大阪で住宅を中心に活動している建築家・設計事務所です。 日々の生活や仕事の事柄を書いています。

地鎮祭

住宅の設計が終わり、施工する工務店も決定し、
さぁスタートとなり一番最初に行うのが地鎮祭です。

この行事は、簡単に言えば、これからその土地を掘って工事を始める前に、
その地域の神社の神主さんに現場に来てもらい、神様の色々な行事を行い、
これからの工事の安全を祈るものです。

ですので、「私は宗教には興味が無い」とか「お金がもったいない」
とか思われる施主さんもおられると思いますが、ぜひ行ってもらいたいですね。

式の段取りはほとんど工務店が行います。ですので、日程が決まれば、
地元の神社に式の申し込みをするだけです。
金額は神社から提示される場合が多いようですね。

当日施主さんはお酒だけ持ってきて、後は神主さんの説明通り式を進めれば良いです。
時間にして30分程度
でしょうか。

また、現場監督が司会者となったり、若手の監督のタマゴの人が写真の撮影係をしたりとか、
施主さんにとっては初めて工務店の組織がよく解る場でもありますね。

この時に、現場には土で小さな山を作り、そこに草(本当はそこに生えている草が良い)
が刺してありまして、まず、設計者が鍬にてその草を刈り取り(のまね)、
そこに工務店の社長さんが穴をほり、そこに神主さんが木の箱を埋め、
最後に施主さんがそれを埋める(まね)をします。

そして、その木の箱は現場が始まれば、基礎の下、建物の中心に埋めて工事を開始します。

また、現場に古井戸がある場合なども、神主さんにお願いしてお清めをしてもらうと良いです。
というのもこの地鎮祭の目的は、この土地をさわる人達の安全祈願、
またその後そこに住む人達の健康を願うということですので、
地鎮祭には心から神様にお願いするという気持ちをもって挑んでもらいたいですね

そして、この地鎮祭で必ず必要になるお酒。
このお酒には「奉献」等の文字を酒屋さんで書いてもらいます。
以前は酒屋のおやじさんが出てきて筆で書いて頂けたのですが、
最近ではパソコンに入力しプリントアウトという事がほとんどになってきましたね。
寂しい限りです。

これらの行事は、昔から続く日本の伝統行事でもありますので、
これから後世にも伝えて行きたいですね。

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RC外断熱住宅

外断熱住宅。最近良く耳にする言葉ですね。
言葉の意味は単純で、断熱材が外側にある住宅ということです。

ということは、木造でも鉄骨でもRCでも断熱材を外側に持ってくれば外断熱になりますので、
巷にはあらゆる外断熱住宅があふれていますね。

しかしながら、外断熱の本来の効果を期待するのであれば、やはりRC外断熱になると思います。

たとえばコンクリート壁式工法で家を建てた場合、壁のコンクリートは約20cmの厚みとなります。

この20cmのコンクリートはとても大きな蓄熱層となりますが、断熱性能はありませんので、
その内か外に断熱材を設置する必要があります。

今までは、施工のしやすさを考え内側に断熱材を施工していたのですが、
この場合、たとえば暑い夏では日中の太陽の熱をコンクリートが貯蓄し、
夜になっても壁は暑いままとなります。

その暖められたコンクリートは、内側にある断熱材を少しづつ通り抜け、
夜の間、ずっと室内は暑い状態となります。
そしてそのコンクリートが冷める間もなく朝が来て、また太陽に熱せられる・・・。
ですので、猛暑日などでは常にエアコンが必要になってしまいます。

逆に外断熱ですと、断熱材によって、コンクリートに熱が貯蓄されにくくなり、
室内では、昼間にエアコンによってコンクリートは冷やされると、
そのまま継続されることになりますので、夜はエアコンが必要なくなります。
結果室内は常に快適な状態を保つ事ができ、光熱費も安くなります。

この外断熱は、暑さというよりも、厳しい寒さの対策として、主に寒冷地で行われていました。
地域としては北欧や日本では北海道などですね。

しかし昨今の地球温暖化で、特に都市部では夏の暑さがとても厳しくなり、
この外断熱が、暑さ対策としても利用されるようになりました。

ここまで書くと、RC外断熱住宅は良いことばかりに聞こえますが、
当然デメリットもあり、これまであまり採用されてきませんでした。

その理由は2つでして、コストUPと施工が難しいということです。

施工が難しいのは、設計者がきちんと監理をすれば良いのですが、
コストについてはどうしようもありません。

結局、当初少々高いお金を払って快適な空間を得て、その後の光熱費が低減されるのを取るか、
その逆でバランスを取るかの選択になりますが、
もしRC住宅を建てるのであれば、一度検討するべきだと思いますね

参考例 城東の家 RC外断熱を採用しました。

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住宅ローンあれこれ

住宅を建てるときにほとんどの方が利用する住宅ローン。

ハウスメーカーや建売住宅を買われる方は、
既に提携の金融機関が決定していたりする事も多く、
完全のお任せで進める事も可能ですが、
建築家に依頼して建てる場合は、ある程度独自に行動する必要があります。

建築家がファイナンスに詳しい場合は、完全に任せてしまう方が良いと思いますが、
そうでない場合は自分で進める必要がありますね。

特に、土地を不動産屋から買って、建物は別の工務店で建設する場合。
土地を全て自己資金でまかなえる場合は良いのですが、土地もローンとする
場合は結構複雑なことになります。

この場合、大抵の建築家には親しい銀行マンがいますので、相談された方が良いですね。

また、設計が完了し、工務店に見積もり依頼する段階で、
施主さんは支払い条件を決定する必要があります。
たとえば契約金額の30%を契約時に、後は上棟時30%残りは最後とかですね。

これは工務店側としても、その施主さんとは初めての取引となる事が多いでしょうから、
少しでも先に工事代金を頂きたいということです。

ですが、大方の住宅ローンは工事完成時に一括支払いとなっています。
ですので、この途中の支払い分を自己資金でまかなえれば良いのですが、
そうでなければ、つなぎ融資として、途中で融資してもらう必要があります。

これがあまり慣れていない金融機関の担当者ですと、
話がかみ合わなかったり、結構高い金利になってしまうこともあります。

ですので、つなぎ融資が無理であれば、工務店への支払い条件を変更しなくてはなりません。
例えば契約時20%で残りは最後とかですね。
その場合は当然、工務店側が施主さんの仕事等での信頼度を勘案しますので、
見積もりを辞退されることもあるかもしれません。

ですので、このあたりはかなり早い段階で、金融機関に確認する必要があると思います。

最後に、その住宅ローン。そのローンの金利が決定するのは、
ローン申し込み時ではなく完成時となります。

また、住宅を建てようと考えてから住まうことができるまで、
一番時間がかかるのは建築家と建てる家だと思います。

これは金利変動時はとても重要になってきますので、
固定金利期間の長さをどうするかも合わせて十分検討する必要があります。

ちょっと間違え少し高い金利を払うことになると、
トータルでキッチン工事費分くらいすぐに吹っ飛んでしまいますので、
住宅ローンの決定はとても重要だと思いますね。

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敷地に遺跡

土地を買ってそこに住宅を建てる時、もしその土地が昔から人々が住んでいた地域であれば、
その土地が埋蔵文化財包蔵地に指定されている可能性があります。

これは役所に行って調べればすぐにわかりますし、
当然土地を購入する場合は説明を受けているはずですね。

特に近畿地方はこの遺跡がとても多く、
一般の住宅地から貴重な遺跡群が見つかることも多いです。

さて、これから住宅を建てようとしている土地がその地域に入っている場合
どうすれば良いかですが、
まずは地域の教育委員会に相談に行くことになります。
そしてその地域の重要度によって、各自治体で取り決めをしていますので、
それに従って行動することになります。

一般的には、工事の内容を記した図面を提出して、審査されるのですが、
Aそのまま工事を行ってよい
B工事の着工時、掘削時に立ち会う
C工事に先駆け、仮り堀りをし、その結果を見て決定する

の3通りとなります。

Aの場合は予想される遺跡のある層より上に基礎が来る場合などですね。
Bの場合は万が一出るかもしれないという程度で、ほとんど出ない場合が多いです。
一番難しいのがCの例でして、出なかった場合は無事着工となりますが、
出た場合はその層を掘らないような設計に変更するか、その遺跡を掘削調査し、
その調査記録を残して着工することになります。
また、遺跡が出た場合にはそのままにして着工せず残すという方法もありますが、
よほどのお金持ち以外はありえないですね。

もし、遺跡の掘削調査になった場合、この調査は教育委員会が行いますが、
それに伴う全ての工事費等は建て主負担となります。
ですので、内容によっては膨大なお金と期間が必要になります

やっと手に入れた自分の土地。もし石油や温泉が出てきてくれれば万々歳ですけれど、
遺跡はできれば出てきて欲しくないですね。

参考例  Yビル 調査の結果、遺跡層があったので、その上に設計変更しました。

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旗竿敷地

少し大きめの土地に建っていた建物が解体され、土地分譲となる場合、
その敷地は分割されることがあるのですが、
その分割の仕方により旗竿地形になって売り出される場合があります。

これは道路に対して敷地が2m以上接続していないと建物の建設が認められない為、
奥行きの長い敷地を分割する場合、しかたなく出来る場合が多いですね。

このような旗竿地を買って住宅を建てる場合は、
その竿の部分には色々条件があるということを頭に入れて買う必要があります。

この竿の部分の間口は法的には2mあれば建設できるのですが、
実際2mでは駐車場にも出来ませんので、ほとんど通路となってしまいます。

ですので、最低3m以上の間口が無いと竿の部分の土地を有効に利用できないことになります。

また、この間口3mあるかないかは、構造方法を選ぶ事からもとても重要になってきます。
というのも、建設用の大型重機が入っていける限界が大体間口3mだからです。

たとえば地盤が悪い場合、杭用の重機が必要ですが、間口が狭いと、
採用できる工法が制約されます。
また、鉄骨造の住宅では、建て方の為のクレーン車は3m以下だと入って行けない場合が多く、
その場合は計画自体が頓挫してしまいます。

ですので、旗竿地の土地を購入する場合は、必ず事前に信頼できる設計者に確認する必要がありますね。

また旗の部分は四方を隣地で囲まれることになりますので、プライバシーの配慮を重視した設計が必要になります。

結局、旗竿地は設計に細かい配慮が必要になるのですが、
逆に建築家にとっては、得意分野な土地と言えるかもしれませんね。

参考例 大東の家

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一年目検査

住宅の工事が終わり、入居。
そこから夢に見たマイホームで過ごすことになるのですが、
ここから一年は慣らし運転中ということを忘れないでください。

ここでは、大量生産、販売されるメーカー住宅や、既製品のみを使用した住宅ではなく、
建築士と一緒に作ったオリジナル住宅の場合です。

自然素材や、その家族にあった新しい試みを施している住宅ですので、
初めの一年は色々あると認識してください。

これは車に例えると解りやすいのですが、
このオリジナル住宅は、国産メーカーで大量生産されている車とは違います。
どちらかといえばハンドメイドの多い欧州車と近いでしょうかね、
ですので慣らし運転時の微調整が必要になると思ってください。

なぜ一年は色々起こるかと言いますと、日本には四季がありますので、
全ての季節を経験して初めて落ち着くということです。

例えば建具。既製品のプラスチックの扉と違い、木材に塗装した扉は、
当然反ったり、ひねたりします。
梅雨時はむくれるでしょうし、冬場は縮むでしょう。
それを経て一年たって大体落ち着きます。そこで問題があれば建具に手を加えて調節します。

接着用の溶剤をあまり使用していない壁塗り材を使用している場合は、結構ひびも入ります。

ですので、一年間は何度か現場に入り、調節をする必要があります。
そして、一年後に検査を行い、調整、手直しを終えると、
そこから先は大きな問題はほとんど起きなくなります。
この間が慣らし運転だと言えますね。

よって、工務店選びは、価格だけではなく、
どれだけ竣工後にこまめに対応してもらえるかが重要になります。
そうすると、住宅の場合、あんまり遠方の業者は良くないかもしれませんね。

ところで、以前は、この一年間にいろいろ起こるのは、
オリジナルの部分ばかりだったのですが、
最近は工業生産品に起こることが多くなってきました。

これは、日本の大手建材メーカーが効率化、ローコスト化を突き詰めた結果、
製品の信頼性が少し落ち始めているのかもしれませんね。

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住宅設計を通じて得た住まいづくりのアレコレ