中間建築設計工房ブログ/建築家 大阪

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吹抜けの効果

吹抜3







(写真 帝塚山の家

住宅の設計をしている時に
良く出てくるキーワードに「吹抜け」があります。

「吹抜けのある狭小住宅」と使ったり
「リビングは広がりの感じる吹抜け空間」
と使われたりしますね。

しかし、実際この「吹抜け」を
住宅に採用する時は
じっくり吟味する必要があります。

吹抜けを造ることでの欠点としては

Aお金が余分にかかる
B冷暖房費が余分にかかる
C構造的に弱くなる

があるかと思います。

Aは簡単ですよね。
空間はあるのですが、床が無いのですから
床面積当たりの単価は高くなります。

Bは対策を施すことで対応が可能です。

そして案外忘れられているのがCです。
要は床が一部無いことにより
地震などの揺れに対し弱くなります。

これは特に木造在来工法2階建で
問題になることが多いです。

木造在来工法2階建ては
法律では、細かい構造計算までは
要求されていませんので
大きな吹抜けを取り入れることは
自由にできます。

実際は、吹抜け部分は
地震時の揺れに対抗する床がありませんので
その対策が必要になります。

また、床が無い分、柱が座屈(曲がることですね)
するおそれもありますので、条件によっては
柱を大きくする等も検討する必要があります。


鉄骨やコンクリート造の時は
細かい構造計算によって安全性が
確かめられるので
比較的安心だと言えますね。

吹抜2












(写真 大淀の家

もちろん、SE構法等の金物構法や
在来工法でも構造計算をきちんと行えば
問題なく使用することができます。

Bの問題については
エアコン等の容量をきちんと設計することに加えて
上下の対策も必要となります。

エアコンで発生する冷たい空気は下に集まり
暖かい空気は上に集まりますので

夏場は比較的大丈夫なのですが
冬場はなかなか
足元まで暖かくならない事が多くなります。

その事を考えると
床暖房を設置する方が良いですね。

もちろん、吹抜けの長所は

空間が広がり重厚感が出る
上下の空間をつなぐことができる

等々色々あります。

ですので
吹抜けはそのリスクを踏まえて
それ以上の、空間的効果がある場合のみ
利用すべきだと思います。

また、一層すべての吹抜けとすることにより
天井が高くなりすぎることもあるかと思います。

その場合階高を少し上げる
もしくは天井を張らない等によって
リスクを少なくして
吹抜けと同じ効果を得られることが出来ます。

吹抜1







(写真 生駒の家

吹抜けは長所もあり短所もありますが
うまく使えば、床面積以上の空間の広がりを
感じられる建築手法の一つです。

ぜひ、設計に取り入れてもらいたいですね。

2008-11-4 初回
2015-7-5   更新

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