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住宅の新しい保険制度

住宅を建てた後、もし何らかの瑕疵があった場合、(例えば雨漏りとか、壁に大きなひびが入るとか)今は法律によって、住宅の重要部分については、その住宅を建てた工務店等が、完成後10年間、その瑕疵部分を無償で修理しなければならないとなっています。

しかし、もし建てた工務店がすぐに倒産してしまったり、存続していても、とても経済状態が悪く、とても保障されないような場合は、残念ながら、建て主が自前で修理せざるを得ませんでした。

そして、そのような事が耐震偽装事件後に社会問題になったこともあり、新たに法律が制定されました。

これは、住宅瑕疵担保履行法と言い、今年の10月以降に引き渡される住宅は、この保険に加入する事が義務づけられます。

その内容を簡単に言うと、住宅の施工会社が決定した時点で、その施工会社が負担して保険に入り、その後重要な時期に保険の検査官が現場確認をし、竣工時にまた検査を行い、保険証を発行します。

そして、その後、もしその住宅に大きな瑕疵が発見されても、その修理費用は保険でまかなわれることになりますので、もし施工業者が倒産しても大丈夫です。

この保険は、当然瑕疵が発見された時の為でありますが、それと同時にきちんと保険機関が検査をすることにより、瑕疵が発生しない建物を造るということにもなります。

これだけ見ると、建て主にとって良い法律が出来たと思われるでしょうが、実は、きちんとした設計監理者と施工者で建てた建物の場合、それ以上の検査が行なわれているので、結局保険料を追加で払うだけになります。

それどころか、この保険は今までもあり、私達も利用していたのですが、これから義務化されることにより、一部の瑕疵をよく起こす工務店の分を、優秀な工務店等が負担することになりますので、保険料はかなり高くなると思われます。

そして、注意しておかないといけないのが、引渡し時期です。
この保険は義務になりますので、今年10月以降は、この保険が無いと引き渡せないことになるのですが、この保険の申し込みは引渡し時ではなく、着工前です。
そして、基礎等の中間時検査もありますので、忘れていたから途中で申し込むということは出来ませんので注意が必要です。

最後に、このような保険制度は、当然消費者保護の目的で国が導入したのですから、私達は粛々とこれを受け入れる必要があるのですが、たとえば、これは昨年のある住宅の基礎配筋完了時を見ると、まず初めに工務店の監督さんが、部分部分確認しながら写真を撮って検査しました。
そして次に日に私(設計監理者)が一つ一つ、図面と照らし合わせながら、メジャー片手に確認作業。
そして数日後、コンクリート打ち込み予定の前日に、確認検査機関の検査官が現場を確認(説明を聞きながら目視にて)、そしてその後に保険機関の検査官が来て同じことの確認。そして今回、この最後の工程が義務付けられたということです。

そうすると、きちんとした設計施工者と契約していた発注者にとっては、結局、施工者が万一倒産した時の瑕疵保障代金がメインとなるのですが、それに見合う金額増かどうかの判断はこれから発注者が下していくことになりますね。

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