
「建築家」という言葉があります。
一般的に、この言葉は
「建物を設計する専門家」と
とらえている方が多いかな、と思いますね。
実際、外国では「建築家(アーキテクト)」
という職業や資格が確立されているのですが
実は日本にはありません。
日本にあるのは国家試験に受ればなれる
「一級建築士」
その建築士になり、3年以上経験を積むとなれる
「管理建築士」
その管理建築士になり、登録すればなれる
「建築士事務所の代表者」
これだけです。
日本では、建築の設計を仕事として行う為には
上記の資格と登録が必要で
その資格を持っている者のみ、設計を行うことを
許可しています。
(上部写真 東大阪の家 事務所設立当初の住宅です)
ちなみに、日本では「建築家」という正式な職業はありません。
「カメラマン」とかと同じで、自称の肩書だと言えますね。
しかし、一般的に「建築家」は認識されていまして
上記の「建築士事務所の代表者」で
不動産や施工業者等の組織には属さず
作例や意見等を発表している「建築士」
の事を指す場合が多いでしょうか。
その中で、これは日本独特なのですが
「住宅を設計する建築家」
というカテゴリーが存在します。
外国では、建築家が住宅の設計をする機会は
ほんとに少ないです。
ロンドンやパリなどの歴史のある都市では
住宅の新築はほとんど出来ませんし
出来ても、法律でほとんど自由がききません。
その他郊外の住宅などは
いわゆるビルダー(施工会社)の仕事となり
建築家は関与しません。
それに比べて、日本は
都市部でも自由に住宅の新築が可能なのに加えて
住まわれる方も多種多様であり
また、敷地の条件が厳しく、複雑であることも多く
いわゆるビルダーの大量生産では
応じきれない住宅がたくさんあります。
そこで、日本では
メーカーや工務店等のビルダー以外に
「住宅を設計する建築家」が存在しています。
その建築家は、主に住宅の設計をしていますが
大きな建物や、事務所、店舗等も設計しますし
大学等で建築を教えていたりもします。
そして、住宅を設計する時も、デザインだけでなく
申請等の業務から、現場監理まで、全てを行います。
このような「建築家(アーキテクト)」の存在は
ほんとに日本独特だと思いますね。
江戸時代であれば
全ての職方を従えて、大工の棟梁さんが
設計から全ての住宅建設を取り仕切っていたのですが
現代になり、住宅建設の過程も複雑になったこともあり
結果、棟梁さんも職方の一人となりました。
そして、代わりに、「住宅を設計する建築家」の存在が
重要になってきたのかもしれません。

※写真はかなり昔、私が所員時代担当した
ある企業の迎賓館です。
江戸時代後期の建物の全面改修工事を
行いました。
この頃の建物は大工の棟梁が設計も全て
行っていたと思います。
昔から、建て主には、それぞれ個性があり
また、建築家にも、同じように個性があります。
その個性がある者同士が協力して
「長らく家族が住むことができる家を造る。」
という流れは
日本では昔から変わらないものだと思いますので
これからも決して無くならないでしょうね。
