先日ある数寄屋住宅を観てきました。
上の写真はその中の和室です。
私は設計には関わっていませんが
ご縁があり、少々お手伝いをしていまして
来月竣工予定だそうです。
最近では、このような本格的な和室を
造ることはほとんど無くなりましたね。
私は設計事務所所員時代の約25年前に
ある大阪の企業の迎賓館の設計で
このような数寄屋の建物を
京都の国宝の修復等も手掛けている工務店と
約2年間ほぼ常駐で設計監理をしたことがあります。
その経験から、少しは本格的な和室について
知識はあるのですが
今回この住宅の設計者や施工者の方とお話ししていて
和室に関わる銘木屋さんやその他色々な業者さん達は
今でもほとんど変わっていない事が解りました。
四半世紀という時間は、私達にとっては
とても長く感じますが、数寄屋住宅等
伝統的建築物の継承に携わっている方々にとっては
僅かな時間なのかもしれませんね。
ところで、私の設計した住宅の中で
本格的な和室を造ったのは
「鶴見の家」です。
鉄骨造の住宅の中の一室だけですが
造作材は全て吉野桧無垢材
床周りの銘木も一つ一つ吟味して
決定していきました。
この時の事は今でも覚えています。
大工さん(親子)は、京都のお寺等の
仕事もされていた方だったのですが
和室の仕事が始まった途端
この空間だけまったく進まなくなりました。
決して大工さんが怠けていたのではなくて
毎日毎日、一生懸命仕事をされていたのですが
ほんの少しずつしか進まないのですよね。
そういえば、以前迎賓館の仕事をしていた時も
毎日20人程度の大工さんが入っていたのですが
工事は一年以上かかりました。
最近のメーカー住宅は約2ヵ月で建ってしまうので
随分違いますよね。
そういえば、上記の住宅も
工事は1年以上かかっています。
建てるのに時間がかかる建物は
多くの職人さんの手がかかって完成しています。
その分、作り手の思い入れも強いので
その後長く人々に愛され使われることになるのだと
思いますね。