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相談を受けたことがあります。
(※個人情報がありますので、若干内容を変えています)
「ある建物の屋上にいく階段があって、そこに扉があるのだけれど
鍵がかかるようにして欲しい」
という内容でした。
「もし見知らぬ人が入ってきて、そこで何か事故が起これば
管理者責任が出てくるかもしれませんね」
とお伝えしたところ、「見積もりをして欲しい」
と依頼を受けました。
そこで、知り合いの工務店に連絡し、内容を伝えた所
社長さんと、建具屋さんが現地を見に来て、私も含め色々検討し
鍵を設置しても、簡単に開け閉めが出来るようにする為
扉の一部を改造し、そこに既成の鍵を取り付けられるように考え
見積もりを作成してもらいました。
見積金額は、鍵代金2万円。
扉の加工実費2万円
工事費2万円
雑費1万円
工務店の経費3万円
の10万円の見積もりを提示したところ
「こんな鍵が10万もするの!」とビックリされました。
確かに鍵代金は2万円ですが
その鍵を設置する為に何人もの方が作業をしています。
その人達は車で来ていますので、その都度駐車場代もかかりますよね。
そして、設置した後で、既存の扉に不都合があり
すぐに壊れてしまった場合などは、無償で作り直す必要も出てきます。
その旨、きちんと説明した所、了承され工事を行い
今でも鍵は設置されています。
但し、小さな工事の場合、この仕組みは中々理解されませんよね。
実際、見えているのは、2万円の鍵だけですので。
しかし、この仕組みはこの鍵だけでなく
新築住宅でも同じです。
10万円払っていますが、材料代は2万円です。
同じ比率だと仮定すれば2000万円の住宅は400万円となりますので
残りの1600万円は人件費や色々な経費となります。
住宅を建てるときには
どうしてもその400万円の方に目が行ってしまいますが
実際は、その部分はどこに依頼してもあまり変わりがありません。
逆に1600万円の方は、誰に依頼するかで随分変わってきますので
そこがとても重要です。
ここに、良い住宅を手に入れる為のコツが詰まっています。
2000万円支払っても、実際作業をされる方にいくら渡っているのかで
仕事の出来が変わってきますよね。
また、実際、現場の作業される方は、会社との取り決めで
報酬が決められて現場に来ているのですが
その時に、気持ちよく仕事を出来るかどうかで
出来栄えが違ってくるのは人間の性ですよね。
ですので、施主さんには、現場を観に行く時には
明るく世間話をして、出来ればたまには缶コーヒーでも持って行って
とお願いしています。
気になる所があっても、決してその場では言わず
私に伝えてくださいとも言っています。
やはり、住宅建設は人間対人間ですよね。
車や家電を買うのとは違うと思います。
消費税が来年10月より10%になることが
正式に決定しました。
これまで2度延期されてきましたが
今度は決定のようですね。
これまでの消費税増税。
建設関係、特に住宅関係は
いつも影響を受けてきました。
特に前回の5%から8%に上がった時は
社会的な問題となりましたね。
建物を建てる、特に住宅を初めて建てる方は
一生で一番高い買い物になりますので
とても重大な事と考えてしまいます。
増税されれば、余分なお金を払わなければならない
と考えてしまって、焦って契約したりすることが
無いように注意が必要ですね。
そこで、どの点に注意が必要が
書いて行きたいと思います。
・増税は2%ということ
今回の増税額は2%です。決して大きい額ではありません。
3000万円の住宅であれば、60万円です。
この60万円。確かに高いと思いますが
住宅建設というのは、景気と直結する重要なポイントですので
政府は、それと同等分の対策を打ってきます。
たとえばローン減税や給付金等々ですね。
住宅を建てるのには色々な人々が関わっています。
不動産屋や工務店だけでなく、大工さんや左官屋さん等の職人さん
材料関係のメーカーや設備機器のメーカー
交通整理のおじさんや掃除のおばさん達等々。
ですので、建設需要が落ち込まないように、必ず対策がなされます。
・営業さんは本当の事は言わない(かもしれない)。
住宅メーカーや工務店の営業さんは
何か社会が変化する時はそれをセールスポイントとして利用します。
しかしそれが正しいかどうかは解りません。
今回、増税が正式に決定しました。
これから来年初までのセールストークは
「駆け込み需要前に契約しましょう」でしょうし
来年春から秋までは
「消費税UPまでに契約しましょう」となり
直前になれば
「10月1日までに契約だけでも済ませれば
その後に着工しても8%ですよ」となります。
実際の工事費の上下は、景気の動向に影響され
その振れ幅は2%どころではありません。
実際、最も忙しい時ともっとも暇な時期とでは
その何倍も変わってきます。
ですので、いつ、工事契約をするのが良いかは
やはり、建設業者と中立の立場で接することが出来る
我々「建築家や建築士」に聞いてもらうのが一番だと
思いますね。
こう書いてしまうと、我々の「セールストーク」に
なってしまいますが・・・。
私はいつも相談を受けた方には
同じ工事費でも、その時期によって仕事の
出来栄えは随分違うとお伝えしています。
たとえば、屋根の板金工事代金が10万円だったとします。
しかし、忙しい時期で、職人さんはずっと休みがなく
やっと午後から空いたので来てくれて急いで工事を行ってくれた。
というのと
暇な時期だったので、事前に現場の確認にも来てくれて
当日は朝から来て、夕方小雨が降って来たのでその日はやめて
次の日に工事を行った。
この場合、共に同じ料金ですが、10年後の状態は随分違う事が
予想されますよね。
これが全ての業種でなされますので、工事の時期の決定は
とても重要だと思います。
ですので、消費税増税が行われる時はいつもよりも
慎重にじっくり住宅建設の予定を進められるのが良いかと思います。
昔から家事と言えば
掃除、洗濯、料理・・・と言うくらいで
掃除はとても大変だったと思います。
しかし、この自走式掃除機(ルンバ)が
登場してとても楽になりました。
我が家もルンバになってから6年ほど
今では普通の掃除機は持っていません。
我が事務所が設計した住宅では
城東の家の施主様が買われたのが
初めてだったと思いますね。
約10年前でしょうか。
最近では、設計段階から要望に
ルンバ使用を含まれることが多いですね。
ルンバ使用にあたり注意する点は
・設置位置を確保しておく
引戸を開け放しにすることで1フロア全て
同時に掃除することができます。
その場合設置場所を出来るだけ中央に
すると良いです。
また造作家具の下部に収納場所をとってやると
ルンバの姿を見ることなく、昼間に勝手に
掃除してくれることになります。
・巾木のポイント
ルンバは結構なスピードで壁にぶつかります。
(一度大きな植木鉢を割られました)
ですので、以前流行りました巾木無しの
シンプルな壁はNGです。
また高さ7cmほどありますので
2から3cmの低い巾木ですと乗り越えてしまいます。
・家具の選定
これは結構重要ですね。
特にソファーやベッドは10cm程度下が開いている
タイプを購入して下さい。
椅子もたまに脚間が狭いものがありますので
注意が必要です。
以上でしょうか。
また、結構音がうるさいですので
夜使用を想定する時はリビングと寝室との
位置関係も重要ですね。
急速に住宅のバリアフリー化が進んだ結果
ルンバを活用できる家も多くなって来ました。
数年後には床に掃除機をかけている姿は
無くなってしまうかも知れませんね。
上の写真は「六甲の家」のリビングですが
ここに置かれている家具は「風樹の塔」さんに
造って頂きました。
キッチンチェストとテーブル、下足箱を造って
頂いたのですが、全てブラックチェリー無垢板です。
普通の造り付け家具は、下地を集成材等で作り
表面は木の薄い板を貼って造ります。
そして、そのような造作家具屋さんに
無垢板での製作を依頼すると
とても高いものになってしまいます。
そこで、無垢のオーダー家具専門工房に
直接施主様が依頼し
完成した商品を住宅に届けてもらい
その後の調整を工務店にお願いすることにしました。
工務店の協力があって実現したのですが
結果、とても良いものを
比較的安い金額で購入
設置することが出来ました。
どんなに素晴らしい家を作っても
住まわれている方や来客の方が
一番身近で観て触れるのは家具です。
その家具をいかによく造るかが
良い家作りの重要なポイントですね。
昔から日本家屋の屋根に使われてきた
和瓦ですが、最近使われることが
少なくなってきましたね。
鋼板やアスファルトシングル材等が
価格や、施工のし易さから
多く使われるようになっています。
しかし、その和瓦もとても進化していて
とても面白い使い方がされています。
上の写真は、昔の製造方法を復活させて
窯で焼かれた平瓦です。
厚みは3cmあり、一枚一枚違った風合いを
持っています。
このように玄関やテラス等に敷くと
とても趣のある雰囲気となりますね。
プラスして他の材料にない柔らかさや
調湿性を持っています。
また、普通の平瓦でも
両側からカッターを入れて割ると
焼けた部分とそうでない部分とで
切断面が3層になります。
その部分を壁やサイン等に使うと
これもまた面白い使い方が出来ます。
上の写真は真っ直ぐにカットしていますが
カーブを付けてカットすると
これに動きが出てきます。
通常の使い方の屋根に使う場合でも
平板瓦ならモダンな屋根に出来ますし
太陽光発電を取り込む事もできます。
ちなみに前面衝立の
穴あきブロックのように見えているのも
実は瓦です。
これらは、全て大阪府建築士会会員誌
の為に取材させて頂いた
淡路瓦工業組合の方々から
教えて頂いたものです。
外国から色々買い付けなくても
地元関西にこのような素晴らしい
素材があります。
ぜひ色々な使い方をして
住宅に彩りを持たせて欲しいですね。
この写真は「鶴見の家」のリビングです。
手前に写っているチェストなのですが
住まれてからしばらくして
この建物に合う家具を造りたい
と相談があり造ることになりました。
材料は吉野の桧無垢材で
柿渋を塗ってあります。
また、「生駒の家」では
竣工時テレビを置かなかったのですが
しばらくしてTVを置きたいとの相談があり
建物のイメージに沿った
TV用のラックを製作されました。
材料やデザインモチーフ等は
全て、新築時に製作した
家具等と合わせています。
「城東の家」にはプレイルームがあり
新築時に、打放しコンクリートに合う
白の家具を製作したのですが
そこに10年後
小さなチェストを置かれました。
ここでは、新たに
打放しコンクリートに合う
「鉄」も有効に使っています。
これらの家具は、全て新築時に
オーダー家具を造った方に
住み続けて時間が経ってから
また造ってもらったものです。
新築時に色々打合せをして
建物や施主さんの事を
よく解っている家具屋さんに
また造ってもらうことで
空間にぴったり合う、いわゆる
「とっておきの家具」
が出来上がります。
これは、「建築家と建てる家」でのみ
味わえることかもしれませんね。