カテゴリ:外装・構造
外観に、コンクリート打放し仕上げを
使用している住宅等をよく目にすると思います。
(写真 第三南田辺ハイツ)
コンクリート打放しは
1800mm×900mmの化粧合板
(コンクリートを流し込む為の型板ですね)
と、セパレーター(型枠を止める為の金物です)
の配置計画をきちんと行い
施工準備をきちんとして、失敗のできない
一発勝負の現場コンクリート打ち
を経て出来上がります。
ですので、設計者、施工者が十分打合せをし
施工図面もきちんと作成しないと
うまくできません。
きれいなコンクリート打放しの外壁は
重厚感があると共に、モダンなデザイン
(型枠のきれいな配置からくるものですね)
を醸し出すことができます。
また、うまく打放しが出来ている現場は
監督や職人さんもしっかりしているので
他の部分もきちんとできているのだな
と想像できます。
このコンクリート打放し仕上げは
コンクリート造だけでなく
木造や鉄骨造の住宅等にも使用することができます。
この住宅は、鉄骨造ですが、一階部分壁に
コンクリート打放しを使用しています。
(写真 大淀の家)
木造や鉄骨造でも、基礎は必ず
コンクリートで作ります。
ですので、基礎から立ち上がっている1階壁は
比較的容易に、コンクリート打放し仕上げを
使用することができます。
上階に軽い素材(金属や木材等)を使う場合
1階部分にコンクリート打放しを使用すれば
モダンな雰囲気を作り出すとともに
安定した質感のバランスを得る事ができます。
生駒の家は木造在来工法二階建てで
姿がそのまま現れる所には
柱は杉、梁はベイマツを使用
そして隠れるところは集成材と使い分けています。
柱は全て120mm角を使用しているのですが
LDKのど真ん中に立つ2階までの通し柱は
180mm角を使用しました。
この材は初めから寸法を決めていた訳ではなく
製材所にお願いして良さそうな材を探してもらった結果
この材が見つかりました。
九州の宮崎の製材所にあり、大阪に持ってこられた時は
200mm角ほどありまして、仕上がりで180mm角になりました。
またとても良い状態で保存されており
背割りも必要なく利用することができました。
初めは180mm角が部屋の真ん中にくるのは
少し鬱陶しく感じるかと思ったのですが
結果、空間の広さもあって、ちょうど良い大きさでしたね。
そして、気になる値段ですが
これが決して高くはなかったです。
結局、和室に使う銘木材等は別として
このような規格外の材はあまり必要とされていないのでしょうね。
とてももったいなく感じます。
確かに、持ってくるのが大変、加工するのが大変
建て方するのが大変、大きな材なので後々割れがでたら大変
と大変づくしですので、とてもメーカー住宅などでは
使われないのでしょうが
その材の持つ存在感や安心感を考えると
もっと使われるべきものだと思いますね。
お問合せフォーム
生駒の家が先月竣工しました。
この住宅でも、クライアントのご家族と共に
色々な試みを行ない完成していますので
それらの内容を何回かに分けて書いてみたいと思います。
最初は木材についてです。
今回の住宅の外観のイメージは、洋館のイメージでしで
クライアントからは、ある実在する建築物のイメージを
聞かされていましたので、それを考慮して設計しました。
(前回と同じ写真ですが・・・)
この外観でとても重要な要素を占めるのが、
化粧柱や梁ですよね。
そして、このようなスタイルの外観の住宅は
とてもたくさん建っているのですが
そのほとんどは実際の木材を使ってなく
樹脂製の既製品です。
しかしながら、私達は無垢の木材を使用しています。
理由は簡単でして、やはり本物にこだわろうということですね。
その場合、耐久性、防水性等色々な問題をクリアする
必要がありましたので、結果、ヒノキ無垢材を使用し、
塗装も色々考えた結果
水性の木材保護塗料に同じく水性のクリア材を上塗りしています。
この写真は外壁に張る前を撮ったものです。
巾30cmの節もあまり無いヒノキ材料でしたので
大工さんは、これに塗装をかけるのはもったいないがな
と感じながら作業されていたようです。
お問合せフォーム
外断熱住宅。最近良く耳にする言葉ですね。
言葉の意味は単純で、断熱材が外側にある住宅ということです。
ということは、木造でも鉄骨でもRCでも断熱材を外側に持ってくれば外断熱になりますので、
巷にはあらゆる外断熱住宅があふれていますね。
しかしながら、外断熱の本来の効果を期待するのであれば、やはりRC外断熱になると思います。
たとえばコンクリート壁式工法で家を建てた場合、壁のコンクリートは約20cmの厚みとなります。
この20cmのコンクリートはとても大きな蓄熱層となりますが、断熱性能はありませんので、
その内か外に断熱材を設置する必要があります。
今までは、施工のしやすさを考え内側に断熱材を施工していたのですが、
この場合、たとえば暑い夏では日中の太陽の熱をコンクリートが貯蓄し、
夜になっても壁は暑いままとなります。
その暖められたコンクリートは、内側にある断熱材を少しづつ通り抜け、
夜の間、ずっと室内は暑い状態となります。
そしてそのコンクリートが冷める間もなく朝が来て、また太陽に熱せられる・・・。
ですので、猛暑日などでは常にエアコンが必要になってしまいます。
逆に外断熱ですと、断熱材によって、コンクリートに熱が貯蓄されにくくなり、
室内では、昼間にエアコンによってコンクリートは冷やされると、
そのまま継続されることになりますので、夜はエアコンが必要なくなります。
結果室内は常に快適な状態を保つ事ができ、光熱費も安くなります。
この外断熱は、暑さというよりも、厳しい寒さの対策として、主に寒冷地で行われていました。
地域としては北欧や日本では北海道などですね。
しかし昨今の地球温暖化で、特に都市部では夏の暑さがとても厳しくなり、
この外断熱が、暑さ対策としても利用されるようになりました。
ここまで書くと、RC外断熱住宅は良いことばかりに聞こえますが、
当然デメリットもあり、これまであまり採用されてきませんでした。
その理由は2つでして、コストUPと施工が難しいということです。
施工が難しいのは、設計者がきちんと監理をすれば良いのですが、
コストについてはどうしようもありません。
結局、当初少々高いお金を払って快適な空間を得て、その後の光熱費が低減されるのを取るか、
その逆でバランスを取るかの選択になりますが、
もしRC住宅を建てるのであれば、一度検討するべきだと思いますね
鉄骨やコンクリート造の住宅は必ず構造計算が必要となりますが、木造在来2階建ての住宅は、
今のところ構造計算は必要ではありません。
(来年5月に法律が変わりますのでその後はわかりませんが・・・)
この構造計算というのは、コンピュータを使って、その建物にかかる荷重や地震、
台風の力を想定で入力し、大丈夫な柱や梁の大きさを計算することです。
日本の在来木造住宅は昔は大工さんの長年の勘を頼りに
部材の大きさを決定してきました。
これは単に荷重だけでなく、建物全体を見て、
安全、安心な寸法や組み方を決めていたのです。
それがコンピューターによる計算を行うと、まるでゲーム感覚で部材の大きさを決定する
ことができます。ソフトには学者と役人が設定した数値が入力されており、
設計者が部材の大きさを設定し入力すると、計算結果はOKかNGかで出ますので、
時間をかければ、いろんな部材の最小限の寸法を導き出すことができます。
よく、住宅関連会社の中で、わが社は全て、構造計算をして安全性を確かめているので、
より強い構造になっていますとの売り込みを目にしますが、それは少し違います。
会社によっては、計算結果を良心的に判断しているところもあるでしょうが、
構造計算をしているということは、その会社にとって、
もっとも効率的で経済的な部材寸法を決定する為に構造計算をしているのであり、
どちらかと言えば建設会社の為に行っていると言えます。
本当に安全で地震に強い建物を手に入れるには、その構造計算の安全率を
法律ぎりぎりでは無く余裕のある数値にする必要があります。
それと、計算でははじき出されない、全体のバランス、昔からの日本人が伝承してきた知恵を
加味する必要があります。
ですので、建設会社に在来木造住宅を依頼される方は、工事担当者に聞いてみることです。
構造は業者に任せっきりです。と言われたら要注意です。
長年木造在来住宅を手がけてきて評判の良い会社は、重要な木構造に関して、
決して他人まかせにはしていませんよ。
お問合せフォーム
住宅を鉄骨造で建てる理由、または施主さんが鉄骨造を選ぶ理由は色々あります。
その理由は、
?なんといっても耐震安全性。
?空間に自由度
この二つに集約されます。
?はどちらかというと施主さん側の要望が強いと思います。
たとえば大阪市内とかの密集地で、敷地も狭いが大きな建物を建てたいとなると、どうしても3階建てとなります。
都市部ゆえ建物の防火性能も要求されてきますので、木造3階建てとの比較検討と
なるのですが、一生に一度の買い物、少しお金がかかってもということで、鉄骨を選ばれます。
?は、どちらかといえば、私たち設計する立場にとってメリットになります。
どうしても木造3階建ては法的に制限が多く、自由度が少ないですね。
そこで、鉄骨造住宅について、詳しく説明したいと思います。
まず、鉄骨には重量鉄骨と軽量鉄骨との区分けがあるようです。
調べてみると、厚みが6mmより上か下かで区別しているようですね。
そして、住宅の場合、重量鉄骨造と軽量鉄骨造とに分かれていることになっています。
この軽量鉄骨造の住宅というのは、ほとんどがハウスメーカーが独自に計算して、お国から認可を得ているものですので、私たちには良くわからないのですが、どうやら3mm厚程度の鉄骨材料を利用して作っているようです。
そして、いわゆる重量鉄骨造というのは、はたして6mm以下の材料を使っていないかといえば、結構H鋼の-部分は5mmだったりするので、良く分かりません。
ここまで、長々と書きましたが、結局この呼び分けにはあまり根拠が無いということです。
普通に鉄骨造の住宅といえば、業界の呼び名の重量鉄骨造の事を言います。
というのも、前述の?と?、特に?については、重量鉄鋼造でしか得られないからです。
そして、?の安心を得るためには、まず敷地のボーリング調査をし、必要であれば、しっかりした杭工事を行い、その上に工業生産品である鉄骨の梁や柱を余裕のある設計のもとに施工し、床には鉄板で作った床材を引き、その上にコンクリートを打設する。
これにより安心できる鉄骨造住宅となります。