カテゴリ:コスト・ファイナンシャル
たとえば八百屋さんで野菜を買う時、消費者は野菜を手に取り、
「これいくら」、「250円」、「一個ちょうだい」
という流れでその野菜は消費者の物になります。
さて、施主さんが住宅を建てる時はどうでしょうか。
当然高価な買い物ですし、出来上がるのに時間がかかります。
ですので、必要な時に必要な人と契約を交わし、
条件を確認しお金を支払います。
その色々な契約の中に建築士との契約もあるのですが、
この契約の内容が、今月末に法改正されます。
というより、今までは何も決まっていなかった(八百屋さんと同じ)のですが、
今回、きちんと決められて、
守らなかった場合、罰則を課されることになりました。
法的に整理しますと、
住宅でもある一定以上の規模の場合、
必ず建築士が設計・監理しなければなりません。
そして、その設計・監理する建築士が施主さんと契約を交わす際には、
?建築士の免許書(現物)を提示し、
?法で決められた内容を説明し、
?また、法で決められた内容を書面にて渡す
ことが義務付けられました。その内容はどのような図面を作成するとか、
設計報酬はいくらで、何時支払うか等々です。
これらの事は普通に設計業務を行っている事務所にとっては当たり前のことです。
(免許証の提示は行っていませんでしたが・・)
しかしこれらをきちんとしていないことが多く、
その場合にトラブルが起こる事が多いことから、今回制度として決定されました。
もちろんきっかけはあの耐震偽装事件です。
この制度は施主さんにとって、
書面と共に必要な内容を説明してもらえる権利が確立したと思ってください。
ですので、どのような住宅の建て方をする時も、必ず説明を受けてください。
今回の改正を受けて、建築士の免許書も
A4サイズのものからカード型に変わる予定です。
(宅建主任者と同じようなシステムでしょうか)
しかしながら、整備が遅れているようで、
全員の建築士に行き渡るまでは時間がかかるようです。
ですので、しばらくはA4サイズの免許証を提示することになります。
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建て主であるクライアントが住宅を建てる決心をし、設計者を選び、
打合せを重ね設計を完了し、見積もりのできる図面が出来上がる。
その段階で設計者の頭の中には、その土地に建つその住宅が頭の中で完成しています。
そして次にはその住宅を建てるのにどのくらいのお金が掛かるのかとなるのですが、
これを確定するのは実に難しいのです。
一般的に、設計者はこの段階で設計見積もりを作成するのですが、
この金額は最終最大で数割の誤差が生じることがあります。
例えば設計見積もりが3000万円だったとして、結果が4000万円になる時もありますし、
2500万円だったりすることもありますね。
これは住宅の一つ一つの要素がかなり「時価」となっていることが原因です。
この「時価」というのは一般的には高級なお寿司屋さんなどでよく目にするものですよね。
たとえば生のクロマグロのにぎり。
これはあまり収獲がなかった時はとても高くなり、豊漁の時は安くなりますよね。
これが住宅の場合、上にぎり寿司10000人前ほど注文しているようなものですので、
注文時の海や市場の状態により随分変わってしまうのです。
しかし、これが大量に仕入れる大手の回転寿司屋さんの場合どうなるでしょう。
大量にネタを買い入れるので、全体を安く、また均一に保つ事ができます。
それによりその大手のお店に行く場合は海や市場の事を考えなくても、
初めから金額が書いてあるので、安心して食事を楽しむ事ができますよね。
これは住宅でいえば、大手の住宅メーカーに例える事ができます。
大量に、それも均一な材料を買い入れているので、
その中の一つの住宅の価格は事前に確定する事が可能となります。
しかし、たまに行く回転寿司と違って、一生住む住宅の場合、
それで納得できるかということになりますよね。
建て主それぞれの考え方だと思いますが、
やはり寿司は回転寿司ではなくきちっと握って、という方の場合、
住宅の価格は「時価」となりますので、材料や時期を吟味する必要があります。
その場合、やはり「今日は良いネタが入ったよ」と旬で安い、
そして美味しいにぎりを薦めてくれるお寿司屋さんを選ぶのは当然ですが、
頼んだネタを「それは今良くないので食べないほうが良いよ」
とも言ってくれる板さんでなければなりません。
これは設計者選びで結構重要な要素だと思います。
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住宅を建てるときにほとんどの方が利用する住宅ローン。
ハウスメーカーや建売住宅を買われる方は、
既に提携の金融機関が決定していたりする事も多く、
完全のお任せで進める事も可能ですが、
建築家に依頼して建てる場合は、ある程度独自に行動する必要があります。
建築家がファイナンスに詳しい場合は、完全に任せてしまう方が良いと思いますが、
そうでない場合は自分で進める必要がありますね。
特に、土地を不動産屋から買って、建物は別の工務店で建設する場合。
土地を全て自己資金でまかなえる場合は良いのですが、土地もローンとする
場合は結構複雑なことになります。
この場合、大抵の建築家には親しい銀行マンがいますので、相談された方が良いですね。
また、設計が完了し、工務店に見積もり依頼する段階で、
施主さんは支払い条件を決定する必要があります。
たとえば契約金額の30%を契約時に、後は上棟時30%残りは最後とかですね。
これは工務店側としても、その施主さんとは初めての取引となる事が多いでしょうから、
少しでも先に工事代金を頂きたいということです。
ですが、大方の住宅ローンは工事完成時に一括支払いとなっています。
ですので、この途中の支払い分を自己資金でまかなえれば良いのですが、
そうでなければ、つなぎ融資として、途中で融資してもらう必要があります。
これがあまり慣れていない金融機関の担当者ですと、
話がかみ合わなかったり、結構高い金利になってしまうこともあります。
ですので、つなぎ融資が無理であれば、工務店への支払い条件を変更しなくてはなりません。
例えば契約時20%で残りは最後とかですね。
その場合は当然、工務店側が施主さんの仕事等での信頼度を勘案しますので、
見積もりを辞退されることもあるかもしれません。
ですので、このあたりはかなり早い段階で、金融機関に確認する必要があると思います。
最後に、その住宅ローン。そのローンの金利が決定するのは、
ローン申し込み時ではなく完成時となります。
また、住宅を建てようと考えてから住まうことができるまで、
一番時間がかかるのは建築家と建てる家だと思います。
これは金利変動時はとても重要になってきますので、
固定金利期間の長さをどうするかも合わせて十分検討する必要があります。
ちょっと間違え少し高い金利を払うことになると、
トータルでキッチン工事費分くらいすぐに吹っ飛んでしまいますので、
住宅ローンの決定はとても重要だと思いますね。
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阪神大震災では、多数の古い木造住宅が倒壊し、
多数の犠牲者を出してしまいました。
それらの住宅は昔の基準法で建てられていたり、
また老朽が激しかった為崩壊してしまったのがほとんどです。
ですので、各自治体では、古い住宅を中心に、
耐震診断・補強工事を進めることを推奨し、補助金制度を作っています。
耐震診断・改修工事を行うことによって、今古い木造住宅に住まわれている方が、
少しでも安心して住まう事ができるのと同時に、
街全体での大地震時の被害を減らすことにもなります。
その時にバリアフリーや、古くなった設備を取り替える等の工事を行うことも可能です。
(注 この場合、補助金は耐震改修にのみ適用されます)
というのも、耐震改修では、床や壁を撤去しなければならない部分が出てきますので、
その時、設備も新しくするのはとても合理的だからです。
この耐震診断・改修は、国の監修のもと取りまとめられた方法によって計算し、
数値で結果が出ますので、その数値を見て安全か危険かを判断します。
そして、その計算に従ってしかるべきところに壁を作ったり、
基礎を補強したりして安全性を向上させます。
以前、お年寄りを狙った詐欺まがいの行為として話題になったやり方、
ある日突然訪問し、床下にもぐり、適当に金物をたくさん取り付け、
法外な金額を請求するというのとは全く違います。
近畿の都市部では密集して老朽化した木造住宅が建ち、皆さん暮らされています。
また東北地方と違って、使われている木材はとても細いものが多いです。
大きな地震は何時来るか解りません。ぜひ各自治体が推奨している補助金制度を利用して、
耐震改修することをお勧めします。
住宅を建てる為にはお金が必要です。ですので、施主さんが予算を決定することが、
全ての住宅建設の第一歩となります。
そして、総予算をすべて現金でまかなわれる方はかなり稀ですよね。
ほとんどの方は色々住宅ローンを借りて予算の計画をされると思います。
しかし、その住宅ローンは、結構複雑で、また施主さんにとって、
ほとんど初めての経験でしょうから、誤った選択をしてしまうことも多いと思います。
住宅を建てる場合は、工事そのものにかかる金額、そして想定追加工事費、
その他に必要な諸経費や実際住む為に必要な備品の購入費等々、
全ての金額をおおよそでつかみ、自己資金をいくらにして、
いくらの金額をローンとするかを、施主さんの収入や月々の返済額とも照らし合わせ、
最終予算を決定していく必要があります。
しかし、これはとても難しい作業で、専門家の意見を聞く必要があるのですが、
たとえば工務店や住宅メーカーの営業さんに、
契約前に自己資金や収入等全て明らかにするのはやはり手の内を見せるようで、
ついつい相談しないで進めてしまう方が多いようですね。
しかし、信頼できる建築家であれば、
そのまま伝えて検討してもらった方が良いと思います。
ファイナンスについては、全く専門外としている建築家もいますが、
普通の建築家であれば、熟知しています。
ですので、今回の住宅はこの金額で建てたい、と伝えるのではなく、
建築家に、住宅の要望を伝えるだけでなく、
施主さんが考えている自己資金やローンについても、
そのまま伝えるほうが、結果スムーズに進むと思います。
そして、その時(特に大阪の人が多いと思うのですが)、
その金額をかなり少なめに言われる方がいます。
施主さんとしては少しでも安くならないかとの意思の表れだと思うのですが、
建築家に実際よりも安く伝えてもまったく意味がありませんよ。
それどころか、逆効果となる事が多いです。
きちんと仕事をしている建築家であれば、工務店との癒着はありません。
施主さんにとって、適正な価格で工事が行われる為に、
建築家は味方してくれると考えてください。
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個人が住宅を建てる場合で、設計事務所に依頼された場合。
設計者とともに設計を進め、見積もりがとれる図面が出来た段階で、
工務店選びをする必要があります。
その住宅を手がける工務店には色々な種類がありますので、
その中で、数社選び入札とすることが今のところ慣例ですね。
その入札金額。設計者が作成した同じ図面を元に見積もりをしているのですが、
その会社の考え方等により、ずいぶん金額に違いがでます。
というのも、その会社の見積もり担当者が日頃どのような工事の見積もりを行っているかで
ずいぶん変わってくるからです。
例えば、常に建築家の仕事を請け負っている会社の場合、
建築家の図面を見慣れていますので、その図面通りに施工すると
どの程度お金が掛かるかが解っています。
しかし、日頃設計施工の建物を請け負っている場合、建築家の図面での判断ではなく、
現場である程度融通が利くと判断して金額を入れる傾向があります。
ですので、けっして金額のみを見るのではなく、中身を見る必要がありますね。
また、見積もり内容がしっかりしていて、なお、提示された金額が非常に安い場合。
これはその会社がその仕事をどうしても取りたいということを表しています。
そのどうしても取りたい理由は色々あり、
A 少々赤字でも会社の実績として、これからの宣伝材料にしたい。
B 決算の関係で、どうしても今仕事を確保したい。
このような理由は結構ありますが、その場合、工務店からかならずその旨伝えられる事が
多いですね。
しかし、
C 仕事が無く、抱えている職人などを遊ばせておくなら、安値でも受注したほうが良い。
D 経営が自転車操業に陥っており、ここでお金が入らないと、会社運営がままならない。
のような場合、これは結局施主さんにとって不利益になりますので、見極める必要があります。
まれに、その会社の経営努力により、特定のある建材メーカーが
非常に安く入るルートを確保している会社があります。
その場合、その条件提示が見積もりと同時に出てきますので、それに納得できれば、
その会社は、施主さんにとって良い会社だと言えます。
また、入札し、最低金額者に落札という制度は、普通に同じものを作る官庁工事や、
道路など土木工事では有効ですが、オリジナルの住宅の場合、本当はあまり適していません。
理想は、信頼できる建築家と共にこの会社であれば任しても良いかなと思える会社を選び、
そして見積もりを取ることです。
要は、見積もり依頼する前に、その会社を訪問したり、工事現場、完成住宅を見学するのです。
そして、結果良いなと思える会社が一社しかなければ単独見積もりでも良いと思いますね。
その会社には他にもう一社見積もりしていると伝えれば良いのですから。
実際は、まだまだこのような工務店選びは稀ですが、これからは増えていくかもしれません。
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