カテゴリ:その他
住宅を建てる敷地。
もし、土地を新たに買われて
そこに建てられる場合は
ぜひ、土地選びから相談して
もらいたいと考えています。
建築家の仕事は、与えられた土地に
そこに住むご家族が望まれる住宅を
建てるのが仕事です。
ですので、どのような土地でも
最大限うまく利用して建てようと考えますが
もし土地選びから加われたら
より良い住宅が建てられると思います。
土地を買われて、そこに建てるのですから
土地の価格が安くできれば
建物にかけられるお金が増え
色々建物の選択肢が増えますよね。
そして、土地の値段はいろんな要素で
決まるのですが、主に、利便性が良い
前面道路が広い、建物が建てやすい
等の土地は高くなる傾向があります。
そこで、住まい手がそれらにこだわらなければ
そうでない土地を比較的安く購入することも
可能になってきます。
「大東の家」は土地購入前から
相談させて頂いたのですが
候補の敷地は、駅から少し離れていて
前面道路も狭く、さらに旗竿敷地という
条件でしたが
ご家族は逆に落ち着いて住めそうだと
考えられ、私としても、住みやすい家が
建てられそうだと判断し
土地購入から設計、施工へと進んでいきました。
完成後には住宅雑誌から取材されたりもして
私としても、とても思い出に残る家となりましたね。
現在、土地購入を考えられていて
うまく建てられるのか悩んでられる方がいましたら
ぜひ相談してください。
建てるのに難しそうな土地でも
うまく建てれば、住み良い住宅になると思います。
ある家族がある土地に
住宅を建てようと考えたとします。
例えば30歳代の夫婦に子供二人
というのが一般的でしょうか。
その場合、建てられた住宅の寿命は
どれくらい必要になるのでしょうか。
子供達は10〜20年もすれば
その家から独立し新たな家庭を築きます。
ですので、30歳代の夫婦が亡くなるまでの間
その住宅でしっかり生活できれば良いので
40〜50年となります。
この間に住宅に何が起きるかというと
普通の木造住宅の場合
15年までに最初の改修工事が必要となり
20年後に設備の取替えが発生し
その後10年ごとに色々なところを改修
取替えをしながら住んでいくことになります。
当然その後も潰さなければ
住宅は建ち続けますが
徐々に住み難い住宅になっていきますよね。
しかし、今、国は200年持つ住宅を奨励し
それに合わせて各住宅メーカー等も
100年や200年をキーワードにして
営業展開しています。
確かに欧米の住宅などは
長い間住まれています。
特にイギリスなどでは古い住宅の方が
高い価格で取引されていたりしますね。
でも本当に日本で100年持つ必要が
あるのでしょうか。
欧米と違って、日本は高温多湿で
夏暑く、冬は雪も積もります。
台風も多いですし、大きな地震もきます。
欧米の住宅とは明らかに条件が違います。
また、確かに欧米では100年持っていますが
常にメンテナンスが必要で
何かしら週末に工事を行っている
イメージがありますね。
日本の場合、家の持ち主が
自ら週末にメンテナンスに時間を掛ける
という習慣はあまりありませんので
長く持たせる為には
別のコストが必要となります。
結局、日本の場合、家族単位で考えて
新しい家族が出来れば
その家族が将来を見据えて
40〜50年持つ住宅を建設し
必要無くなれば解体する
というのが日本の文化に合っている
と私は思いますね。
そしてその文化に
日本の木造在来工法は
合っていると思います。
ですので、住宅の設計を行う時に
単に長寿命を考えるのではなく
その間の家族のライフスタイルの変化を
計算に入れて寿命を設定し
その必要な寿命の間快適に住まうことのできる
コストバランスの良い住宅を作ることの方が
重要ではないでしょうか。
上部写真は200年以上前の住宅を改修し
現在でも使われ続けられている建物です。
確かに、日本の木造建築は
何百年も使い続けられますが
普通の家族が住む住宅の場合は
バランスを考えて寿命設計を行うことが
良いと思いますね。
2009-1-14 初回
2015-8-20 更新
現場監理=建築士が行います。
現場管理=建設会社の現場監督が行います。
現場管理は、設計図を元に
どのように現場で施工しようか考え
工程や職人さんたちのスケジュールや
現場の安全等現場が順調に進んでいくように
管理します。
いわゆる一般的に認識されている
現場の監督さんのお仕事ですね。
資格としては建築施工管理技士となります。
そして現場監理。
これは建築士(監理者)が設計図通り
進んでいるかを週に数回
現場に来て確認することです。
また図面に問題がある場合等の
変更修正を指示する役割もあります。
こちらの資格はそのまま建築士ですね。
上部の写真はある現場の地鎮祭の様子ですが
右から神主さん、現場監理者である私
現場管理者の建設会社の監督さんと並んでいます。
そして、案外知られていないのですが
現場監理をする建築士と
現場管理をする現場監督は
直接の契約関係ではありませんので
建築士は建設会社に図面との違いを指摘し
やり直しを命じることは出来ますが
強制させることはできません。
出来るのは
やり直しに応じてもらえなければ
その事を施主さんに報告するところ
までとなりますが
実際にはそのようなことになるのは
かなり稀なケースです。
これらが主な現場監理者の仕事ですが
現場監理者と設計者が同一の場合は
実際には、施主さんの新たな意見を
現場に反映する役目や
色々なことの決定や変更、金額調整等
その現場のまとめ役的立場になる事が多いです。
この取りまとめがうまい工事監理者であれば
現場がスムーズに進みますし
建設会社も、現場のミス、手戻りも少なく
後々のメンテナンスも少なくて済む等
経済的に良く納めることができますので
建て主を含め、共に満足のいく
住宅作りになっていきます。
写真はある住宅の基礎配筋工事です。
現場の段取りや指示は、現場管理者が行い
工事後、現場監理者がチェックします。
そして合格となれば次の工程へと進んでいきます。
このように重要な工事監理ですが
前述のように、作業としては
図面通りできているかの確認作業ですので
実際の監理作業は、設計作業に比べて
かける時間を少なくできそうですが
実は、たっぷり時間がかかることが多いですね。
また、建て主側としても、この現場監理に
じっくり時間をとってくれる設計者を
選ぶことが重要だと思います。
この現場監理者は、建築確認申請では
必ず建築士を指名し明記することになっています。
そしてその監理者は
監理の状況を工事監理報告書として
検査機関に提出する必要があります。
建築家に設計から依頼するのでは無く
建設会社等に依頼される方は
必ず誰が監理者となり
どのように監理されるのかの確認をすることが
とても重要ですね。
2008-9-14 初回
2015-7-26 更新
「建築家」という言葉があります。
一般的に、この言葉は
「建物を設計する専門家」と
とらえている方が多いかな、と思いますね。
実際、外国では「建築家(アーキテクト)」
という職業や資格が確立されているのですが
実は日本にはありません。
日本にあるのは国家試験に受ればなれる
「一級建築士」
その建築士になり、3年以上経験を積むとなれる
「管理建築士」
その管理建築士になり、登録すればなれる
「建築士事務所の代表者」
これだけです。
日本では、建築の設計を仕事として行う為には
上記の資格と登録が必要で
その資格を持っている者のみ、設計を行うことを
許可しています。
(上部写真 東大阪の家 事務所設立当初の住宅です)
ちなみに、日本では「建築家」という正式な職業はありません。
「カメラマン」とかと同じで、自称の肩書だと言えますね。
しかし、一般的に「建築家」は認識されていまして
上記の「建築士事務所の代表者」で
不動産や施工業者等の組織には属さず
作例や意見等を発表している「建築士」
の事を指す場合が多いでしょうか。
その中で、これは日本独特なのですが
「住宅を設計する建築家」
というカテゴリーが存在します。
外国では、建築家が住宅の設計をする機会は
ほんとに少ないです。
ロンドンやパリなどの歴史のある都市では
住宅の新築はほとんど出来ませんし
出来ても、法律でほとんど自由がききません。
その他郊外の住宅などは
いわゆるビルダー(施工会社)の仕事となり
建築家は関与しません。
それに比べて、日本は
都市部でも自由に住宅の新築が可能なのに加えて
住まわれる方も多種多様であり
また、敷地の条件が厳しく、複雑であることも多く
いわゆるビルダーの大量生産では
応じきれない住宅がたくさんあります。
そこで、日本では
メーカーや工務店等のビルダー以外に
「住宅を設計する建築家」が存在しています。
その建築家は、主に住宅の設計をしていますが
大きな建物や、事務所、店舗等も設計しますし
大学等で建築を教えていたりもします。
そして、住宅を設計する時も、デザインだけでなく
申請等の業務から、現場監理まで、全てを行います。
このような「建築家(アーキテクト)」の存在は
ほんとに日本独特だと思いますね。
江戸時代であれば
全ての職方を従えて、大工の棟梁さんが
設計から全ての住宅建設を取り仕切っていたのですが
現代になり、住宅建設の過程も複雑になったこともあり
結果、棟梁さんも職方の一人となりました。
そして、代わりに、「住宅を設計する建築家」の存在が
重要になってきたのかもしれません。
※写真はかなり昔、私が所員時代担当した
ある企業の迎賓館です。
江戸時代後期の建物の全面改修工事を
行いました。
この頃の建物は大工の棟梁が設計も全て
行っていたと思います。
昔から、建て主には、それぞれ個性があり
また、建築家にも、同じように個性があります。
その個性がある者同士が協力して
「長らく家族が住むことができる家を造る。」
という流れは
日本では昔から変わらないものだと思いますので
これからも決して無くならないでしょうね。
二世帯住宅を建てるきっかけは
色々あると思います。
(写真 大東の家 )
結婚をして子供が生まれ
親と同居することになった。
親が高齢となり出来るだけ近くに
住みたいと思った。
相続対策等々。
理由は色々あると思いますが
私の経験上
二世帯住宅を建てて
二世代三世代が適度の距離を置きながら
一緒に住めることは
とても幸せな事だと思いますね。
(写真 城東の家 )
そして、二世帯住宅を建てる時の
心得としては、あくまでも別々の家族の住宅を
建てることを原則として設計を進めることだと
思います。
その中で、絶対に別々にしていきたいもの
共有しても良いかと思われるものを
じっくり打合せをしながら決定していきます。
打合せは奥様とお母様が意見を出し合い
ご主人が間を取り持つ仲裁役となって
設計者と打合わせが出来れば
良い方向に進むことが多いですね。
良い打合せができれば、後はプロの出番です。
縦、横、斜め、どのように二世帯が絡み合うのか
設計者の腕の見せ所です。
(写真 大淀の家 )
二世帯住宅は家族全て(親世帯)が
健康で幸せに過ごせる時間は
単世帯住宅より短くなります。
しかし、親から子、孫へと
命が継承していくのを
一つ屋根の下で経験していくことは
とても重要で大切な事だと思いますね。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
さて、私達は日々住宅を主に設計することを業として報酬を得ています。
当然、世の中に住宅は沢山あり、その全てで設計者は存在し、
必要なコストがかかっているのですが、
その中でも、建築家の設計コストが(建築家にもよるのですが)、
一番高いと思います。
これは、時間単価ではなく、総額です。
時間単価なら比較的長くかかった住宅では、
コンビニのバイト以下になる筈ですが・・・。
さて、そのもっとも高いコストをかけて建築家に
設計を依頼するメリットは、どこにあるのでしょうか。
そんなメリットは全くないと考える方も多いでしょうね。
ここで、そのメリットを、建築家側からの勝手な意見として
(反論もあるでしょうが)、書きたいと思います。
昔は、建築家で家を建てる事で、
最先端の技術やデザインの特別な家を手に入れる事ができたと思います。
しかし今では、どの工法も材料も、デザイン手法も、
どこで住宅を建てても手に入れる事ができます。
デザインなどは、ある雑誌の切り抜きを持っていけば
同じような空間を作ることは可能です。
しかし、同じ工法、同じ素材を使っても、
ある建築家が設計した住宅は
やっぱり何か違うという体験をされた方も多いかと思います。
特に関西では、一昨年お亡くなりになられた
石井修さんの住宅などを観られた経験がある方には
解ってもらえると思います。
これは、何処が違うのか。なかなか言葉で言い表しにくいですね。
一つ言えるのは、これらの住宅を観たり、経験した時の「ゾクゾク」
とする不思議な体験です。
この「ゾクゾク」感は決して不快な感じではなく、どちらかと言うと
浮遊感というか、居心地のよさと言えると思います。
これは視覚として入ってくる情報を、
脳がデザインを含め整理して理解していくこと以外の感覚を
体が感じていると思います。
それを感じる事は誰にでも出来るのですが、
それを感じさせる設計はそうそう出来ない。
これは例えば、同じ空間を、
建築雑誌の切り抜きを元に模倣しても絶対に真似できないものだと思います。
今年もその感覚の設計が少しでも出来るようになる為、
日々勉強していきたいと思っています。
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