カテゴリ:その他
建築家が設計し建てられた住宅。
完成するとその建物は建築家や施工会社の手を離れ施主さんが住むことになるのですが、
その直前には竣工写真を撮ることが多いですね。
この竣工写真はその後その建築家の作品紹介の為に利用されることも多いですので、
一般の方はその写真を観て、この建築家はどのような設計をするかを知ることになります。
この竣工写真を撮るカメラマンには色々な方がいます。
元々プロのカメラマンという資格がある訳ではないので、
誰がとっても法的には問題ないのですが、
出来上がりは人によって随分違うようです。
同じ場所に同じようなカメラを据えて写真を撮っているので、
その結果はほとんど同じであるハズなのですが、
全く違う空間を撮ってるように感じることもありますね。
結局そのカメラマンが「建築」をどれくらい理解しているかによって違いが出てくるようです。
これはある住宅での出来事です。
その時は事前にカメラマンを指定していませんでしたので、
工務店が連れてきたカメラマンで撮影したのですが、
立ち会った私にいきなり何処の写真が欲しいか尋ねて、
それを聞き終わるといきなり撮影を始めました。
現場にあったゴミ等もそのままにして撮っていたので尋ねてみると、
「後でコンピューターで消します」との事。
あっという間に撮影が終わり帰って行きましたね。
数日後の写真の出来栄えは言うまでもありませんよね。私が撮った写真の方が随分きれいに撮れていました。
今私の事務所では私と同じ歳の建築カメラマンに数年前から撮ってもらっているのですが、
そのカメラマンの場合はどのように撮影が進むかと言いますと・・
朝、現場には私との待ち合わせの時間より随分早く着いて周りの視察から始め、
その後私からその建物のコンセプト等の説明を受けるのですが、
その後もすぐには撮り始めませんね。
その空間の良い時間を待っているという感じでしょうか。
そしてその間、後でコンピューターで消すなどの処理もしませんので、
私も一緒になって部屋の片付け、お掃除をします。
そして頃合が来たら三脚を立て、露出計を何回も確かめ、クロのホロを被ってさあ撮るかな、
と思ってもまだ撮らない・・・。
結局数カット撮るのに一日をかけ、天気が悪くなってきたらまた後日。
その結果、出来上がった写真は当然いつも満足のいくものになっていますね。
費用は少し高くなりますが、せっかく建てた住宅ですので、
竣工写真は良いプロの建築カメラマンに依頼することをお勧めします。
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住宅の設計が終わり、施工する工務店も決定し、
さぁスタートとなり一番最初に行うのが地鎮祭です。
この行事は、簡単に言えば、これからその土地を掘って工事を始める前に、
その地域の神社の神主さんに現場に来てもらい、神様の色々な行事を行い、
これからの工事の安全を祈るものです。
ですので、「私は宗教には興味が無い」とか「お金がもったいない」
とか思われる施主さんもおられると思いますが、ぜひ行ってもらいたいですね。
式の段取りはほとんど工務店が行います。ですので、日程が決まれば、
地元の神社に式の申し込みをするだけです。
金額は神社から提示される場合が多いようですね。
当日施主さんはお酒だけ持ってきて、後は神主さんの説明通り式を進めれば良いです。
時間にして30分程度でしょうか。
また、現場監督が司会者となったり、若手の監督のタマゴの人が写真の撮影係をしたりとか、
施主さんにとっては初めて工務店の組織がよく解る場でもありますね。
この時に、現場には土で小さな山を作り、そこに草(本当はそこに生えている草が良い)
が刺してありまして、まず、設計者が鍬にてその草を刈り取り(のまね)、
そこに工務店の社長さんが穴をほり、そこに神主さんが木の箱を埋め、
最後に施主さんがそれを埋める(まね)をします。
そして、その木の箱は現場が始まれば、基礎の下、建物の中心に埋めて工事を開始します。
また、現場に古井戸がある場合なども、神主さんにお願いしてお清めをしてもらうと良いです。
というのもこの地鎮祭の目的は、この土地をさわる人達の安全祈願、
またその後そこに住む人達の健康を願うということですので、
地鎮祭には心から神様にお願いするという気持ちをもって挑んでもらいたいですね。
そして、この地鎮祭で必ず必要になるお酒。
このお酒には「奉献」等の文字を酒屋さんで書いてもらいます。
以前は酒屋のおやじさんが出てきて筆で書いて頂けたのですが、
最近ではパソコンに入力しプリントアウトという事がほとんどになってきましたね。
寂しい限りです。
これらの行事は、昔から続く日本の伝統行事でもありますので、
これから後世にも伝えて行きたいですね。
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土地を買ってそこに住宅を建てる時、もしその土地が昔から人々が住んでいた地域であれば、
その土地が埋蔵文化財包蔵地に指定されている可能性があります。
これは役所に行って調べればすぐにわかりますし、
当然土地を購入する場合は説明を受けているはずですね。
特に近畿地方はこの遺跡がとても多く、
一般の住宅地から貴重な遺跡群が見つかることも多いです。
さて、これから住宅を建てようとしている土地がその地域に入っている場合
どうすれば良いかですが、
まずは地域の教育委員会に相談に行くことになります。
そしてその地域の重要度によって、各自治体で取り決めをしていますので、
それに従って行動することになります。
一般的には、工事の内容を記した図面を提出して、審査されるのですが、
Aそのまま工事を行ってよい
B工事の着工時、掘削時に立ち会う
C工事に先駆け、仮り堀りをし、その結果を見て決定する
の3通りとなります。
Aの場合は予想される遺跡のある層より上に基礎が来る場合などですね。
Bの場合は万が一出るかもしれないという程度で、ほとんど出ない場合が多いです。
一番難しいのがCの例でして、出なかった場合は無事着工となりますが、
出た場合はその層を掘らないような設計に変更するか、その遺跡を掘削調査し、
その調査記録を残して着工することになります。
また、遺跡が出た場合にはそのままにして着工せず残すという方法もありますが、
よほどのお金持ち以外はありえないですね。
もし、遺跡の掘削調査になった場合、この調査は教育委員会が行いますが、
それに伴う全ての工事費等は建て主負担となります。
ですので、内容によっては膨大なお金と期間が必要になります。
やっと手に入れた自分の土地。もし石油や温泉が出てきてくれれば万々歳ですけれど、
遺跡はできれば出てきて欲しくないですね。
少し大きめの土地に建っていた建物が解体され、土地分譲となる場合、
その敷地は分割されることがあるのですが、
その分割の仕方により旗竿地形になって売り出される場合があります。
これは道路に対して敷地が2m以上接続していないと建物の建設が認められない為、
奥行きの長い敷地を分割する場合、しかたなく出来る場合が多いですね。
このような旗竿地を買って住宅を建てる場合は、
その竿の部分には色々条件があるということを頭に入れて買う必要があります。
この竿の部分の間口は法的には2mあれば建設できるのですが、
実際2mでは駐車場にも出来ませんので、ほとんど通路となってしまいます。
ですので、最低3m以上の間口が無いと竿の部分の土地を有効に利用できないことになります。
また、この間口3mあるかないかは、構造方法を選ぶ事からもとても重要になってきます。
というのも、建設用の大型重機が入っていける限界が大体間口3mだからです。
たとえば地盤が悪い場合、杭用の重機が必要ですが、間口が狭いと、
採用できる工法が制約されます。
また、鉄骨造の住宅では、建て方の為のクレーン車は3m以下だと入って行けない場合が多く、
その場合は計画自体が頓挫してしまいます。
ですので、旗竿地の土地を購入する場合は、必ず事前に信頼できる設計者に確認する必要がありますね。
また旗の部分は四方を隣地で囲まれることになりますので、プライバシーの配慮を重視した設計が必要になります。
結局、旗竿地は設計に細かい配慮が必要になるのですが、
逆に建築家にとっては、得意分野な土地と言えるかもしれませんね。
住宅の工事が終わり、入居。
そこから夢に見たマイホームで過ごすことになるのですが、
ここから一年は慣らし運転中ということを忘れないでください。
ここでは、大量生産、販売されるメーカー住宅や、既製品のみを使用した住宅ではなく、
建築士と一緒に作ったオリジナル住宅の場合です。
自然素材や、その家族にあった新しい試みを施している住宅ですので、
初めの一年は色々あると認識してください。
これは車に例えると解りやすいのですが、
このオリジナル住宅は、国産メーカーで大量生産されている車とは違います。
どちらかといえばハンドメイドの多い欧州車と近いでしょうかね、
ですので慣らし運転時の微調整が必要になると思ってください。
なぜ一年は色々起こるかと言いますと、日本には四季がありますので、
全ての季節を経験して初めて落ち着くということです。
例えば建具。既製品のプラスチックの扉と違い、木材に塗装した扉は、
当然反ったり、ひねたりします。
梅雨時はむくれるでしょうし、冬場は縮むでしょう。
それを経て一年たって大体落ち着きます。そこで問題があれば建具に手を加えて調節します。
接着用の溶剤をあまり使用していない壁塗り材を使用している場合は、結構ひびも入ります。
ですので、一年間は何度か現場に入り、調節をする必要があります。
そして、一年後に検査を行い、調整、手直しを終えると、
そこから先は大きな問題はほとんど起きなくなります。
この間が慣らし運転だと言えますね。
よって、工務店選びは、価格だけではなく、
どれだけ竣工後にこまめに対応してもらえるかが重要になります。
そうすると、住宅の場合、あんまり遠方の業者は良くないかもしれませんね。
ところで、以前は、この一年間にいろいろ起こるのは、
オリジナルの部分ばかりだったのですが、
最近は工業生産品に起こることが多くなってきました。
これは、日本の大手建材メーカーが効率化、ローコスト化を突き詰めた結果、
製品の信頼性が少し落ち始めているのかもしれませんね。
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住宅を建てようと色々勉強を始めると、この言葉が良く出てくると思います。
しかしながら、きちんと理解されている方が少ないと思いますので、
少し説明させてもらいます。
まず、建築士。これには一級建築士と二級建築士、木造建築士があり、
試験を受けて合格すれば名乗ることができます。
この中では一級建築士は国家資格で、2年の実務経験が受験資格
となっているので、この資格を持っている人はあるていど
建築について知っているということができます。
ただし、この建築士というのは、あくまでも資格保持者というだけでして、
この有資格者が建築士事務所を開設し、その事務所の管理建築士として登録すれば、
初めて正式に設計事務所の代表として番号を頂き、建築確認申請を行う事ができます。
ですので、一般に建築士さんと呼ばれているのは管理建築士の事を指すと思いますが、
実際建築士資格を持っている人の中で、管理建築士になっているのは、ほんの一握りです。
そして、この管理建築士を置いている建築士事務所にも色々あります。
A専業の建築士事務所
この中でも、主に施主さんから仕事の依頼を受けている事務所と、
主に建設会社から仕事の依頼を受けている事務所に分かれます。
B兼業の建築士事務所
これは、建設会社やハウスメーカーなどが、建築士事務所を兼任し、
設計施工で業務を 行う会社です。
C形だけの建築士事務所
建設関係の主に下請け工事を請け負う会社の社長などが、建築士資格を持っているので、
建築士事務所を登録しているが、実際設計は行っていない会社。
ですので、施主さんが直接契約をしたり話をするのは、Aの前者だけとなります。
そして建築家ですが、この言葉にはきちんとした定義はありません。
これはプロのカメラマンと同じようなもので、
誰でも名乗る事ができます。
しかし一般的には前述のAの建築士事務所の中の、主に施主さんから仕事の依頼を受けている
管理建築士の事をさすと思いますね。
例えばハウスメーカー所属の建築家とか、工務店の協賛建築家というのは
ちょっと拡大解釈のしすぎだと感じますね。
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